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都市における緑化の影響

 昨日東北大が主催しているサイエンスカフェがあり、久しぶりに行ってきました。テーマは都市における緑化の役割で仙台の定禅寺通りの街路樹が環境にどんな影響を及ぼすかでした。
 
 現在ヒートアイランド現象というものが起きていて、都市部が気温の高いスポットとして、島のようにポツリポツリと高温地帯を作っていて、世界の温暖化のペースよりもずっと速いペースで都市部の温暖化というものが進んでいます。
 その原因として、植物や水(池とか)の減少、高層ビルの乱立による風通しの悪さ、アスファルトやコンクリートで被覆した事による熱の照り返し等があります。それを改善するのに水蒸気を発生させる(緑を増やす・水をまく)、熱を反射させる(ビルに反射塗料を塗って熱を反射して宇宙へ熱を戻す)、風通しを良くする(風通しを考慮した都市計画)等が考えられるみたいです。
 そこで定禅寺通りの環境を調べてみた所、生い茂った街路樹があるおかげ(日射の遮断・蒸散による水蒸気の発生)で、地上の温度はだいぶ低くなっているみたいですが、その代わり上空への風通しが良くないので車の排気ガス等の空中濃度が濃くなっていたとの事。なので無計画にがんがん緑を植えれば良いというものではなくて、総合的に考えて植えないといけないよという事でした。
 
 結局どれが良いのかというモデルはまだなくて、その土地その土地で考えないといけないという結論。環境問題は考えるファクターが多くてなかなかすぱっと行かない。うちのテーブルでは“効率的な緑化をプランニングしている間にもどんどん環境は悪化していくわけだから、とりあえず緑化したって良いんじゃないの?”なんて意見がでて面白かった。確かにそうだ。
 都市部が暑くなる→エアコン使う量が増える→電力消費量が増える→化石燃料の燃焼が増える→CO2濃度が増える→また暑くなる。という悪循環が起きているので、それを改善する事を考えた時に都市部をエアコンを使わずにどうやって冷やすかというのは環境問題を考えた時にとても大事な事になると思います。
 以前蔵王町に長期計画のアイディアを募集していた時に、大学等と組んで蔵王の自然のエネルギー(森、温泉、地熱、風等)を使って社会実験をおこなって、持続可能なライフスタイルの提案をしましょうなんて話をした事がありましたが、考えてみれば田舎でそんな事やっても、全体からみると都市部のライフスタイルの影響の方が圧倒的に地球環境に与える影響が大きすぎるので、都市部で応用できるスタイルでないとあんまり効果がないかもしれない。
 色々研究はなされているのでしょうが、環境問題については意外と理系的アプローチ(工学的・地学的)よりも、文系的アプローチ(社会学的・哲学的)の方が大事なのかもしれません。生活が豊かになって衣・食・住に困らなくなった結果、今度はムダな物を作って売る事で経済が形成される事になっています。衣食住に困らずそんなムダを楽しめる社会環境に生まれた事は感謝していますが、それを突き詰めすぎる事で生活が脅かされるのでは本末転倒。その辺のバランスをどうやって取っていくのかが今後大事になるのでしょうが、そこで20世紀的な拡大路線をみんなが考えているのでは無理がでるので、そこら辺の価値観をうまくもって行くが文系的アプローチなのかなと思います。“足りる事を知る”って事が大事かと。最近はだいぶエコや環境を考えるのがオシャレみたいな価値観が出ていると思うので、そんな価値観がもっと浸透してくれれば良いなぁと祈っています。
 
 サイエンスカフェは毎月やっているのですが、金曜の18:00からなのでなかなか時間を作るの大変。もうちょっと遅くからにしてくれれば行きやすいんだけど(蔵王から来る人間なんか想定するわけないわな)。日常に埋もれて考え方が狭くなる時にふと外部の考え方を入れて脳みそを活性化するのに便利な場所です。あまり自分に関係なさそうなテーマでも頭の体操として、行くようにしています。
by hiraqT | 2007-06-30 06:47 | ・日常ネタ | Comments(0)

蔵王のハーブ農家の日常です。(株)ざおうハーブ(http://www.zaoherb.com/)


by zaoherb
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